昨日、表題の『格差社会の現状と今後』というテーマで、都留文化大学教授 後藤道夫先生の講演を2時間半にわたり拝聴しました。 先生が、ご自身でおっしゃるとおり、’講演’というより、’講義’のような充実した資料と、詳細なご説明で、私は講義内容の真実に本当に驚愕しております。 というわけで、このブログにも一部、ご紹介します。
まず、’格差’の定義ですが、’絶対的格差’と後藤先生が定義付けておられます。絶対的格差とは、《健康で文化的な最低限の生活》の可能と不可能の格差であるとします。これに反し、相対的格差とは、上層と下層の差を現すので、この差が広がっても、下層と位置づけれられる人々の生活がある程度の生活レベルを保てるのであれば、社会的な問題ではないということだと思います。
日本の現状は、この絶対的格差、すなわち、あってはならない生存権の侵害を受けている貧困層の増加が問題であるということです。
貧困世帯数とワーキングプア世帯数がここ数年で、大幅に増加しています。
貧困世帯数(生活保護世帯を含む)97年900万世帯(19.5%)⇒02年1192万世帯(24.0%)
ワーキングプア世帯(就業貧世帯+失業貧困世帯)97年514万世帯(14.4%)⇒02年656万世帯(18.7%)
ユニセフ OECD基準での貧困率は、日本の母子家庭・1人親家庭の子の貧困率57.9% 日本の子ども全体の中での貧困率14.3% (日本の子ども7人がいたら、そのうち1人は貧困家庭であるということ)
この事実を聞くと、日本の子どもたちは、十分に教育を受けられるか、国の言う、子育て支援とは名ばかりなのかと思われます。
貯蓄(あらゆる金融資産)をゼロと回答した世帯が、05年で23.8% およそ4世帯に1件の割合で貯蓄がゼロとなっています。
就学援助受給者も急増しています。全国で97年に78万人⇒02年115万人⇒04年134万人
東京都立高校の授業料免除者(免除基準は生活保護基準) 99年3.9% ⇒04年10.5%(職業高校の免除率は18.1%)
さても恐ろしいほどまでに貧困層の急激な拡大です。これはやはり、構造改革の悪影響が出てきたとしか思えません。
なぜ、これほど貧困層(ワーキングプア)が拡大したのか
1 労働市場の構造転換と労働条件の急落 (1)大規模な正規雇用から非正規雇用への転換と日本型長期雇用規範の解体 (2)フルタイム型の非正規雇用の急増・・・安い賃金で正社員と同じ労働を強いられる現状 (3)小規模零細企業の賃金低下と企業規模別格差の拡大・・・大企業の下請けは泣かされることばかりで、小規模企業が弱体化しました (4)若年労働者の労働条件の急激な悪化
2 グローバル化と構造改革による自営業の経営困難 ・・・これは私の税理士としての職制がらも理解できますが、昔ながらのスタイルの自営業者はことごとく、営業が悪化し、廃業していきました。
3 勤労世帯への最低生活保障が底抜けしていく構造と、さらによりいっそうの弱体化傾向・・・様々な社会保障費は削られ、勤労者は過酷な条件の労働を強いられ、障害者は自立支援法などという自滅支援法を立法化され、さらに生活保護の申請もできないような層が増加し、力尽きて自殺者や餓死者が累々とでるような仕組みの社会になっています。
さて、これからの日本がどうなるのか、もし貴方が自分は富裕層だから興味ないとか、生活保護を受けるほどの貧困ではないから関係ないとかと思っているとすれば、それは大きな間違いです。貧困層が増加すれば、治安が悪化し、モラルも何もなくなります。若い層が安心して子どもを産み育てられなくなり、満足な教育も受けられないままの成人が増え、文化は荒廃し、社会もゆがんだ醜い日本になって、いづれこの国は崩壊してしまいます。
最後に、後藤先生の言葉が印象的でした。『支配者層は、やりすぎたのだ。!』
私は、税理士という職制上、中小企業や自営業の顧問先さまの苦悩をよく知っています。かくいう、私自身も税理士業という自営業であり、NPO法人という零細な規模の運営を任された理事長としても、今後の日本社会の成り行きをただ見守るだけでは間に合わないのではと思い、ブログにも記載させていただきました。
なお、この講演は埼玉税経新人会の総会の記念講演として、後藤道夫先生に講演していただいたものです。講演詳細は全部書ききれませんし、一部、河崎が自分のコメントを加筆させていただきましたが、先生のレジメの内容に沿って記載したつもりです。
税理士 CFP 河崎陽子 http://www.zeimu-kaikei.com/
NPO法人資産相談センター 理事長 http://www.soudan.or.jp/
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